今井雅宏 無料コラム
2025.4.19 更新
*前日予想と違って、不定期だがほぼ毎週出走馬確定前に行っているMの次週重賞データ分析コーナー。
前週のデータ分析を回顧し、当週の重賞を過去数年にわたってデータ分析しています。
出走馬確定前に分析しているので、今回の出走馬ではなく、あくまで近年の連対馬、人気で凡走した馬のステップを解析し、そのレースの質(特徴)を読み解くと同時に、Mにおけるデータ分析手法の実践を通し、その習得を目指したコーナーになります。
新たに編集S君の予想と、それに対する今井氏のワンポイントアドバイスコーナーが付いて、重賞分析がさらに使いやすく、増量パワーアップ!
2025.8.23 更新
キーンランドCデータ分析
編;レパードSに続いて2週連続で人気薄の本命が重賞で勝ちましたね~。札幌記念で10番人気◎トップナイフが勝って、単勝25倍、あと馬単210倍も的中でしたよ。
今;これでサマー2000Sは小倉記念に続いて本命が勝って万馬券連続的中になったよ。
編;確かにあのレースも単勝二桁配当の美味しい本命が勝ちましたっけ。となると、次の新潟記念も三たび強烈な人気薄本命で3連勝を期待してますね!(笑)。他にもいろいろと本命が勝って、単勝回収率は全体でも楽に200%オーバーでしたよ。
今;日曜の勝負レースで唯一本命が来なかったレースね。あれは前走太目でもなくて3着に好走した休み明けの逃げ馬がマイナス4キロだから。
編;ええ、Mの馬体重理論の全て真逆でしたもんね~。結局残りの5頭中3頭で決まって3連複万馬券ですから先週のリプレイみたいで、今週も「馬体重理論恐るべし」という結末でした。そしてやっぱりMの位置取り理論ですよね!トップナイフは今井さんの指定通り差しに回っての完勝ですから、痺れたというか、直線は感動しましたよ。
今;S君、ルンルンだね~。縦目で万馬券当ててたもんね(笑)。トップナイフをきっちり対抗に持ってきたのは鋭い。3番手2着馬も鋭いね~。
編;回顧表のお陰でもあるんですけどね。函館記念の回顧表で10着のトップナイフだけ、滅多に出ないA評価獲得でしたから。
今;えっ、そうだった?すっかり忘れてたよ。どれどれちょっとエクセルで確認してみようか。・・・あ、本当だ。しかも函館記念1~5着馬は全部C評価じゃん。おお!あぶな。危うくCのハヤテノフクノスケを本命にするとこだった(笑)。
編;この回顧表も先週のデータ分析と同じで敢えて忘れて予想することにしてるんですもんね(笑)。だからこそ、回顧表の評価と予想が一致すると、より激走しやすいという。
今;別のルートで同じ結論に辿り着いたわけだからね。以前にも解説したように、予想の客観性を担保するために、なるべく自分の発表した解説は予想のときは忘れるようにしてるから。・・・なるほど、そうか。
編;うん?どうかしました?
今;あ、いや・・・。
編;ところで何で2走連続二桁着順だったのに唯一のA評価だったのですか?札幌記念で評価するのは道悪想定で分からなくもないですが、函館記念の終了時点ではそんなこと分かってない状況ですよね?
今;しかも、次走が得意の札幌になることさえも分かってなかったよ(笑)。この評価は次走の条件を一切考慮しないで出しているものだから、使うのならそこの注意、修正は必要だよ。エプソムCのときは状態悪かったんだ。それでも前崩れの展開で得意でもない条件で結構踏ん張ってたから。まだこの馬の心身は終わってないことが分かる。前走はその反動もあってやっぱり状態悪かったけど、厳しい流れでも前に行く意欲を見せた。気持ちも終わってないことを再確認したから、次で楽に先行出来れば激走するんでA評価にしたんだった。思い出したよ(笑)。
編;ただ今回は先行ではなく、「差しに回れば位置取りショック」という解説での本命でしたよね?
今;そここそが、このレース最大のポイントになるよ。
編;というと?
今;実は新聞を最初に開いたときは評価してなかったんだ。
編;先週のドンインザムードみたいですね~。あれも最終的に本命になったという話でした。
今;ただあの馬は一応戦績確認して、押さえの1頭くらいかな?と頭の片隅にインプットしていた。そうしておくと他の馬を分析しているとき、無意識の回路で脳が勝手にシミュレーションしてくれるからね。でもこのトップナイフは、新聞広げた段階でもう視界から外した。
編;どうしてでしょう?
今;先行馬が多いからね。この馬は先行馬が多くてガリガリやる流れを先行する競馬はL系でかなり苦手だよ。そういうのが得意な先行馬もいるけど、そういうタイプじゃない。だから考えても無駄、凡走するんで一切意識にも登らせないで予想していた。
編;それが何故本命に?
今;予想してて酷い道悪用に一応の筋道は出来てたんだ。ハヤテノフクノスケは重いタイプでしかも揉まれ弱い。加えてストレスもある。だからかなりの道悪になって、かつハイペースを前走より後ろに回る位置取りショックで相殺しないと。
編;予想でも、そういう解説でしたね。
今;かなり後ろから重い馬場を捲っていく形。そうすれば弱点を克服出来る。前走みたいに位置を取ると今回はアウトだけどね。その辺はどう騎手が乗るかとペースとの勝負だけど、まぁそこそこの人気薄だし、騎手も前走の敗戦で反省して後ろに下げる決断をすることに賭けても良いと判断した。ただ理論的にはそうだけど、靄がかかってる。
編;どんなもやです?
今;硬直化だ。馬の硬直化も怖いけど、人も硬直化している。横山和も、そして僕もね。つまりハヤテノフクノスケを取り巻く世界そのものが硬直化しているわけだ。それは感触としてあるし、その物理的正体も細かい分析でだんだん突きとめつつあったけど、ただゴールへの筋道としては立ててある。そもそも他に買いたい馬もいないからね。前走本命のココナッツは硬直化してはないけど、酷い道悪を走れるのかも、酷い道悪で外枠の差しが物理的に間に合う馬場なのかも不透明だ。人気を考えると相手の1頭が妥当。そして予想の締め切り数分前だよ。
編;とうとう来ましたか?
今;最後に靄の正体が気になりつつボンヤリ出馬表を眺め直してたときだ。「・・・えっ?!差すじゃん!この馬、今回差しに回るじゃん!!」
編;出ましたっ!トップナイフですね?
今;うん、危なかった。何で先行するとばかり思って候補から除いていたのか。3走前追い込んだ横山典への乗り替わり、ここ2走の惨敗、そして先行馬が多いメンバー。このタイミングでヨコノリが先行するなんて可能性が一体どれほどあるのか。ほぼ差す!そして差しに回る位置取りショックなら来る。一瞬だったね。本命以外の選択肢はもうないよ。
編;ところで、何で差しに回る位置取りショックだと来るタイミングなのですか?
今;鮮度時の位置取りショックならある程度馬群も割れるからね。しかも得意のばらける道悪なら尚更だ。そしてここ2走でスタートも改善されてる。つまりス夕ートを普通に出てからの、「意識的な差しに回る位置取りショック」だよ。これは3走前より効果倍増だ。それにタイトな競馬の場合、前走差していた馬より先行してた馬が差す方が有利。
編;Mの基本ですね。
今;それで捲って勝ったヴェローでなくハヤテノフクノスケも評価したんだけどね。ただ彼の場合は前走好位だからショック幅が少ないし、果たして騎手が敢行するかも分からない。S質活性化も弱いしね。だけどトップナイフは2番手だから、今回は好位~後方。どれでも完結するし、そのどれでも一定の効果は期待出来る。靄が一気に晴れ渡ったわけだ。それで当日だけど、さっきの9Rね。外枠の差しで決まったでしょう?
編;ええ、外の差しで3着以内独占ですね。
今;しかもスロ―でね。つまり差しの決まる馬場だから余計にこのショックは効く。
編;それでココナッツも来たわけですね。
今;雨も早めにあがって、外差しの利く馬場、というか外差し有利だから、不安材料が一掃されたわけだ。
編;絞れたのも良かったですよね?前走の回顧で本命のココナッツは太目だったという解説でしたが。
今;ただ若干減りすぎだけどね。でも懸念された入れ込みがなかったから良かった。
編;そういう解説もありましたね。やっぱり今井さんの解説通りの馬場、馬体重、位置取りの馬が走るという、そのことを改めて実感しました。というか、感動してます。自分のA評価を意識的に忘れて、それでも10番人気が本命で、一致した瞬間何かが化学反応を起こしたかのように勝つという。
今;そのときは次走先行を期待してたのに、実際の現場では真逆の差しを期待して本命で、もちろん差しての勝利だ。回顧時に想定してたいつもの先行策なら当然負けてたよ。
編;・・・つまり、ジーニアスじゃないですかっ!
今;世界はあるべき方へ収斂されていくわけだからね。そこにあの硬直化の影は、もうどこにもない。Mの地平は、遮るもの何一つなくただ澄みわたっていた。
編;おお~!・・・で、凄くかっこよく締めたところで恐縮ですが、準勝負に回した中京記念の回顧も一応少しお願い出来ます?
今;う~ん、セブンマジシャンは4キロ減で厳しくなったよね。更なる馬体減りで5歳にして古馬になってから連対時最低馬体重を下回ったし、福島遠征の疲れが出た形だった。まぁそれでも全くの人気薄だから、金額を予定より少し抑えて買うくらいが妥当かな。
編;トップナイフのマイナスとは違いますよね?
今;あれは最後に連対した札幌記念に近づいてそれでも2キロプラスなわけだから特に気にする必要もない。中京記念はそれこそ全く買いたい馬がいなかったよ。エルトンは左回りでタイトな中京と休み明けがマイナス、エコロは春の心身疲労と切れるタイプでないんで少頭数のマイルだと消耗戦に持ち込まないとキレ負けする。ウォーターは得意の東京で凡走したあとの中京とカテゴリーストレス。キープカルムはストレスと苦手な外枠ね。
編;マピュースはどうでした?
今;そこまでキレる馬ではないから、スタート悪いんで追い込みになる筈で勝ち負けは無理だろう。ブルーミンデザインは硬いタイプで前走大幅減で走った反動が出る可能性が結構高い。ということで、人気薄を本命にしたわけだ。いくら考えてもしっくりくる馬はいない、こういう全ての馬が走れないレースは、展開か一周回って単純能力で決まるわけだけど、超スローで行った行っただったね。マピュースの騎手が強引に2番手を取りに行くのが読めなかった。これがスローの難しさで、行こうと思えばかなり出遅れなければどんな馬でも行けちゃうからね。騎手の気持ち次第で決まる、運の要素が強くなるわけだ。ただミスといえばシンフォーエバーがスローで逃げることを読めなかった点。コントロールが難しい馬なんで、仕掛けてブルーミンのハナを奪おうとすれば掛かってペースアップすると思ったけどね。肝心の競るはずのブルーミンが馬体増えずに懸念された反動が出て、前に行けなかったから競る相手もいなくなった。
編;ブルーミンは「少し増えれば」という解説でしたもんね。
今;反動が出たかどうかは、この場合はそれでだいたい分かるステップだからね。特に前に行く推進力は、増えるべきタイミングで増えないと弱まるんで、ああやって超スローなのに先行馬が前に行けなくなる。
編;それもこれまで解説してきた、Mの馬体重理論の基本ですね。
今;でも本当のミスはジューンオレンジで、人気薄のC系ジャスタウェイのショックタイミングなんだけどこっちが正解だ。とんでもない真空地帯を作って格好悪かったよね。この馬の意味自体は長年のMファンなら分かるし、これ以上喋るのはそれこそ格好悪いからやめよう。また別の機会にでもね。
編;それと勝負レースの精度も、札幌記念以外でも凄かったですね~。6戦3勝2着1頭で、土曜は2レース2点目以内的中でした。日曜で外れたのは、最初に話した馬体重がかなりヤバかったレースだけですもんね。あれも対抗は3着で、単勝30倍で2着の人気薄が相手に入ってて残った67点以上で3連複万馬券ですし。
今;ただ人気サイドが多かったでしょう?
編;そういえば今井さんの勝負レースにしては、札幌記念以外は妙に人気サイドが多かったですね。それだけ自信があったわけですよね。
今;いや、良いレースが全くなかったんだ。少頭数で新潟は戸崎、中京は川田とかトップジョッキーの切れない人気馬がいるレースとかだよね。あんなのやる意味あるのかって話だ。基本、勝負レースは面白い馬をピックアップしてるから、人気サイドがやけに多かったりしたら、それはあまり良いレースがない日ってことになるよ。
編;そういえば日曜は6.5もいませんでした。それでも単勝回収率220%ですから今週はもっと面白いレースがあることを期待して、レースのポイントはキーンランドCにしましょうか。昨年は、函館スプリントS勝ちのサトノレーヴが勝ちました。ただ函館スプリントS組はいませんね。2着エイシンスポッターも登録の無い北九州記念組なので3着ですが、香港からのオオバンブルマイが来ました。海外組はどうなっていますか?
今;3頭中1頭が3着以内だね。ちょっと数が少なすぎてデータ分析は無理だけど、来た馬は香港で10着。来なかったのは香港6着とUAE4着。蓄積疲労の少ない馬が面白いかもだね。今回の位置取りは3角14番手で、極端な脚質が嵌まりそうな馬も注意したい。
(続く)
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